ジャーナル
2020.05.19インタビュー
デザイナー・造本作家 駒形克己氏インタビュー

文字のないパズルのような絵本やハッとするような世界観など
うつくしい作品を生み出し続けているONE STROKE。
国内外で活躍する駒形克己さんにお話しを伺いました。
もともとデザイナーの駒形先生が絵本を作り始められたきっかけを教えてください。



作品同様、魅力的なワークショップを世界各地で開催されていますが、こちらも「経験」の機会ですよね。


いろんな個性の子ども達や学生さんがいる中で、彼らに向き合う時に大切にしていることを教えてください。
大人には悪い癖があって、子どもを前にするとすぐに「教えよう」としちゃうんです。例えば子どもに「クジラはどう描くの」と聞かれたら、たいていの大人はクジラの絵や写真を見せる。結果、子どもはそれをまねします。もちろんまね自体が悪いものではないですが、答えを伝えることは、その子が考えたりや想像する機会を奪っているかもしれない。子どもの間に自由にイメージするのは大切で、感性は決して教えられるものじゃない。大人はそこを勘違いしないことですね。もちろんルールを守ることや秩序を伝えたり、大人としてのふるまいは大事にしながら。 私は学生達によく種の話しをします。種はあえて面倒な手続きをとって発芽するでしょう?皮と果肉に囲まれた中にいて、動物に食べられることで移動して、脱糞された場所で発芽のチャンスを待つ。肥料に囲まれていても適正な温度と水が加わらないと発芽しないんです。これは人間も同じ。種のポテンシャルって、みんな持っています。発芽できるかどうかは環境も大きい。子ども達はこれからの人たちで、だから何の種か大人が種類を決めつけてしまうんじゃなくて、いろんな視点でその子のポテンシャルを引き出す場、ツールや、方法などの環境を提供するのが大切だと思います。これから社会に飛び出す学生さんに向けてメッセージをお願いします。

取材に同行した学生さんから\駒形先生、質問です!/
音楽など表現が好きなのですが周りや評価を気にして、表現が縮こまってしまいます。

表現の質を高めようとすれば圧倒的な練習の量があってこそ。絵も音楽もスポーツもそれは同じで、特に若いうちは量を意識する。量から初めて質が生まれます。もちろん基礎も大切で、基礎があって、なおかつ量と向き合えば、やがて質は高まっていきます。表現の質に到達したと勘違いしないためにも、ひたむきに量と向きって欲しい。「自分ってまだまだだな」って謙虚でいた方が頑張れたりするから。
海外に興味があり留学も決まっています。やりたいことのはずなのに準備をしながらも不安な気持ちも出てきて…

メディアの情報だけじゃなく、現地の人とカタコトでいいから言葉を交わして、そこからだと思う。私もロスに居た時、全然英語喋れないのにレコードジャケット作りたいって情熱だけで全部のレコード会社に飛び込みして…(笑)なかなか上手くいかなかったけど、その時は「自分が出来るようになることに憧れよう」って思っていた。「いつか出来る自分」を思い描いて一生懸命憧れていた。他人はよっぽどじゃないと自分に憧れてくれないけど自分だったら出来るからね。留学は成長のチャンス。ぜひ活かして欲しいです。
どうしたら先生みたいなかっこいい大人になれますか?

あはは(笑)種まきをすることでしょうか。種まきとは、言い換えれば経験の質を積み重ねる事とも言えます。その経験の質を高めるためには、努力も必要だね。経験の質はその人自身のものであり、それをいかに積み重ねていく努力を続けられるかを、心がけています。




▼駒形克己氏の作品やワークショップ・展示会などの情報はこちら https://www.one-stroke.co.jp/ ▼Twitter 駒形克己(@KatsumiKomagata) ONE STROKE(@ONESTROKEnews)