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ジャーナル

2020.04.22インタビュー

【グローバルキッズ代表取締役・中正雄一氏インタビュー】子どもの「自立」と「共生」をめざして

今回お話を聞くのは、運営施設170園を超す保育事業者大手のグローバルキッズ代表取締役・中正雄一さんです。 中正さんは、グローバルキッズを創業されて以来、保育事業を通じてたくさんの子どもたちの「明るい未来のために」力を注いできました。最近は学童施設や児童発達支援事業所も運営され、4人のお子さんの親であり、自らも保育士である中正さんにグローバルキッズのこれからのことなどを伺いました。

これからの時代に大切なのは「自立」と「共生」

グローバルキッズでは、「子どもたちの未来のために」のコンセプトを掲げていますが、これからの時代に生きる保育とはどんなものでしょう?
中正さん:僕は、これからの子どもたちに大事なことは「自立」だと思っています。それからもう1つ、他者と協同しながら共に生きていくこと、つまり「共生」です。子どもたちが「自立と共生」に向かっている時には、大人は手を出さない。大人のかかわりは最小限にして、できるかぎり見守りに徹することを大前提と考えています。 これは、いま公教育でも推進されている「アクティブ・ラーニング」の考え方にも一致します。アクティブ・ラーニングというのは「主体的・対話的な深い学び」という意味で、生徒が能動的に学習に取り組むことをいいます。「主体」は自分のこと、「対話」は他者との関係ですね。そこに「深い学び」があるということです。 海外の保育・教育から学ぶことはたくさんあり、その考え方は大事にしていきたいと思っています。だからといって、僕から園に「この方式でやってください」というような押し付けはしません。ある方法が、そのまま保育園で適用できるわけではありませんし。 ただ、これまで保育をやってきた経験をもとに、その考え方を0~3歳に応用・発展させることができるのではないかと。そこはチャレンジであり、楽しみにも思っているところです。
取材をさせていただく中でグローバルキッズ園の園長先生にお会いすることもあるのですが、そのお話を聞いていると、各園を信用して任せているところが大きいという印象を受けました。
中正さん:これも「自立と共生」の考えですね。起業した最初のころから、運営側が求めていることを一斉に園でやってもらうというやり方には違和感があるなと思っていました。 保育園に来る子どもはみんなそれぞれ違うし、それをみている大人もそれぞれ違います。さらに、施設のある地域も、また違うんですね。足立区で保育園をつくってきて、次に世田谷区で始めようと思ったら、保護者や地域から求められることが全然違いました。この経験で、各園の「保育士さんたちを信用してやっていこう」という思いが強くなりましたね。 ただ、会社の規模が大きくなってくると、ルールとして決めなければいけないことも増えてきます。また、僕が園長たちとそういったことを直接話せる機会も減ってしまいました…。 そこでいま、園ごとに「チームブック」をつくる活動をしているところです。各園で作成する全体の計画を職員みんなで決めてもらうようにして、そのミーティングに僕が参加させてもらいます。保育が終わった後に非常勤スタッフを含め全員に集まってもらって3~4時間かけて話し合うので、なかなか大変です。保育士さんたちも大変ですが、僕も1週間で7園のミーティングに参加した時は倒れそうになりました(笑)

現場ごとオリジナルの「チームブック」を創り、園の風土を育む

1日3~4時間のミーティングに7日続けて参加されたんですか…?!
中正さん:まあ、そうですね(笑) 僕としては、こういう機会にコミュニケーションがとれるのはすごく嬉しいですし、チームブックづくりは面白いんですよ。これまでに100園以上のミーティングに参加しましたが、みんな楽しかったと言ってくれますね。 まず、会社としての譲れないポイントについて僕が話をします。それから「この園をどうしていきたいか」について全員で意見を出し合い、バラバラの意見を1つにまとめていきます。そうすると、自分たちで決めたことだから納得もしているし、守ろうとする強い気持ちが生まれるんですね。 これをやると、新人でも「自分たちはこう考えている」ということを保護者や地域の人に自信をもって語れるようになり、それぞれの保育場面でも行動がブレない園になると思います。 各園のチームブックは、グローバルキッズ園で共有している携帯アプリ「GKアプリ」の中で公開しています。職員なら誰でも見ることができますから、今後は、チームブックが、より自分に合う園を見つけるための参考になればいいと思っています。
チームブックをつくる際に中正さんが話されている「会社としての譲れないポイント」というのは?
中正さん:いちばん大事なのは「上下がないこと」です。保育園にかかわる6つの対象者、子ども・保護者・保育者・業者&取引先・行政・会社は、すべて対等。役割の違いがあるだけで、みんな保育園を形づくる仲間です。僕には「代表」という肩書きがあるけれど、それも役割の1つであって、僕が偉いのでもなければ園長が偉いのでもない。このことは必ず伝えるようにしています。 それから、僕は、子どもたちが大人になっていく過程で、憧れを抱くような”輝いた大人”が身近にいて寄り添っていれば、子どもの未来は明るいものになると思っているんです。たとえ家庭環境に困難があったとしても、学校に行けばそういう大人に会えるというのは1つの希望。 子どもにかかわる仕事をする大人には、自分が輝くことを意識してほしい。無理に格好つけるのではなくて、ありのままを受け入れて「自分らしくあること」を大事にしてもらえれば、それこそ憧れの存在として子どもの目に映るでしょう。 保育士こそ、先ほどの「自立と共生」が大事です。自分を大切にした上で、周りと協同していかなければならない仕事ですよね。保育士には子どもの人生に関わる大事な仕事なのだという「覚悟」と「楽しさ」の両方をもっていてほしいと思います。大変だけれども、素晴らしい仕事をしているのだということを忘れないでいてください。
中正さんには「大学まで子どもにかかわる」という夢があるそうですね。小学校の開校で一歩前進ですね。
中正さん:そうなんです。僕は自分が保育士になるところからこの業界に入りましたが、夢は、子どもたちが生まれた時、いや母親のお腹の中にいる時から、大学までのかかわりです。僕はいま月に4回くらい保育のシフトに入って実際に子どもたちをみているのですが、トイレ掃除をやってみると、トイレの数がやたら多い。それって子どもたちが一斉にトイレに行くからなんですよね。自分で決めて、それぞれ行きたい時に行くのなら、こんなには要らない。オムツ替えでは、「やってもいい? イヤ?」と、1人ひとりに尋ねます。1歳でも0歳でも「やっていい」と返事をした子はもう抵抗しません。自分で決めたことは受け入れる。自己決定だなと思います。僕は子どもの力をもっと信じたい。僕の子も兄弟姉妹で自然と助け合っていてすごいなと感心しますが、いつか大人は見守り、子どもが自分たちだけで運営する保育園や学校をつくりたいですね。夢は尽きません。

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