ジャーナル
2020.07.07保育園レポート
子どもたちは大人と地域で育てる!保護者との関係が良好な保育園の秘密とは?
昔の子育ては父母のみならず、祖父母や叔父・叔母など大家族で行っていました。さらにご近所の方々も子どもをよく見ていて、地域で子育てを行うという土壌もありました。ところが高度成長期以降、大家族から核家族へと家族のスタイルが変化を遂げさらに現代では「ワンオペ育児」まで登場しています。
育児や仕事のストレスを抱えたまま保育園に預ける保護者の心の負担や、実際に現場で働く保育士の様々なストレスを少しでも軽減できるような取り組みを行っている保育園が、「ウイズブック保育園」です。その結果、保育士と保護者の関係は概ね良好なのだとか。今回は「ウイズブック保育園天王洲」で働く保育士さんたちを束ねる成瀬佐保園長先生に、園の特徴や取り組みについてお話しを伺いました。(2019年12月取材)




オリジナルの絵本を使い、絵本の読み聞かせを活動に取り入れ、発達に応じた保育を行っています。具体的にいうと毎月1冊の絵本を活用し、そこから関連する遊びへつなげる保育です。例えば「ぐるぐる」という絵本の場合、園児にぐるぐるから連想される物はなに?と聞きます。「パン」といったら、小麦粉粘土でパンをつくったり、「タイヤ」といったら、お散歩の時に車のタイヤがあることを発見させたりします。
ウイズブック保育園の子どもたちは集中力があると感じますね。遊びでも「なんだろう」「やってみたい」「おもしろそう」とひたすらやり続ける子どももいますし。保護者にも子どもたちが使っている絵本を渡していて、喜んで頂いています。




はい、保護者への対応が違ってきます。あるケースですが、いつも眠そうにしている園児がいました。登園直後なのに関わらず眠そうで。ある時は、食事をしながら寝てしまったこともありました。これは明らかに、夜更かしをしているなと分かりました。普通なら保育士は、その様子を連絡帳などで保護者にストレートに伝えると思います。でも研修を受けた保育士は原因などを決めつけません。一体なぜそんな生活をしているのか。その家族の背景をていねいに探るようになります。
その園児の担任の保育士は「お母さんは知らない、あるいは分かっていないかもしれない」と気づきました。そこで保護者に聞いてみたところ、お母さんは良かれと思ってやっていたことが分かりました。子どもと遅い時間にコンビニに行ったりビデオを見たりして夜更かしをさせていたのは、子どもが喜んでいる、望んでいると思っていたようです。その保護者からは「先生に教えてもらって良かった」とお礼の言葉を頂きました。




大きな運動会ではありませんがプログラムに沿ってダンスを踊ったり親子で身体を動かして楽しむ行事があります。そのための練習はせず、普段子ども達が楽しんでいたものが競技となったり、ウィズブックプログラムの中で作ってきたものが結果種目の小道具や万国旗として使われたり・・・という形です。




最後に
ウイズブック保育園天王洲は、雰囲気が全体に落ち着いていて子どもたちの集中力が高いと感じました。成瀬先生は、2020年4月よりウィズブック保育園 西五反田の園長として活躍中です。保育士たちも全員穏やで自然体でありながら、仕事にやりがいと誇りを持って取り組んでいる姿に好感が持てました。子どもを保育士、家族、地域の大人みんなで育てていく。それをモットーに地域との関係も良好で恵まれた環境にある保育園ですが、何より保育士と保護者との関係が良好なのは本当に素晴らしいと感じました。