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ジャーナル

2020.04.22就活コラム

てぃ先生×保育士BOOK 処遇改善丸わかりセミナーレポート

みなさん、こんにちは。

保育士BOOK発行人の花村と申します。

弊社は保育士・幼稚園教諭の皆さんのはたらく環境の向上を通じて保育環境の進歩発展に貢献したいと考え、保育士を目指す学生さんや転職、再就職を希望する保育士さん向けの保育士BOOKという園選び情報誌を発行しています。

今回は、現役保育士でもあり、保育環境の改善、進歩発展にご意見をお持ちのてぃ先生をお招きして最近話題の処遇改善についてお話ししました。

2019年4月各法人さんがこぞって処遇改善を実施する!?

2018年12月の日経新聞さんにも掲載されたようにいくつかの保育事業者さんが処遇改善に取り組むと発表がありました。

例えば、

ポピンズさん…大卒の保育士の初任給を約3万5千円アップの26万円、短大・専門学校卒は約2万円増の24万3千円にすることを発表!既に働く保育士の賃上げも来春に実施する方針を発表しています。 グローバルキッズさん…大卒の保育士の基本給を1万~2万円引き上げ、全国一律で20万2000円とし、都内の認可保育園勤務の場合、手当を含む初任給は24万~26万6千円程度となる見込みだそうです。 JPさん…新卒保育士が働く施設を選んで入社できる制度を導入!従来は勤務したい地域までしか選べず人材のミスマッチも起きていましたが、今年の4月入社の内定者約220人のうち約30人がこの制度で入社する予定とのこと。(2018年12月時点)

このように保育士さんが働きやすい環境整備に取り組み保育事業者さんが増えてきています。

そもそも処遇とは何か!?

処遇とは金銭的報酬非金銭的報酬と二つにわかれるようです。

金銭的報酬とは給与や各種手当や賞与となり、こちらは各社、特に株式会社さんが力を入れて改善していますね。

非金銭的報酬は福利厚生と時間的処遇があります。福利厚生にも法律で決められている各種保険と各社が独自で設定している制度と分かれるんですね。

代表的な独自制度=法定外福利厚生としては、住宅手当(家賃補助)や通勤手当、家族手当の支給、健康診断補助などが挙げられます。住宅手当はここに入るんですね。結婚や出産などのお祝い金やお悔やみごとへの香典。健康診断やインフルエンザの費用や社員旅行や研修費などはこの法定外福利厚生に入ります。

行政単位で予算を組んでいる住宅手当も「使える・使えない」は法人の独自判断による!?

住宅手当も独自福利厚生=法定外福利厚生なので実施するしないは法人に任されます。よって、給与が上がる上がらない、といった金銭的報酬とは別にこの「法定外福利厚生」をどのように運用しているか、取り組んでいるかが各法人の保育士さんに対する考え方が出てくるところです。

休日休暇の設定の仕方にも法人の考え方が出てくる!

加えて休日の設定の仕方も有給など法定のものとは別に各法人が設定可能です。今回、参考とさせていただいたグローバルキッズさんでは、結婚休暇5日間、出産休暇や介護休暇、アニバーサリー休暇いつでも休暇など多彩な休暇を準備されています。「有給が取れる」「残業が少ない」は当たり前の時代に、保育士さんの職場環境も進んで行きます!

 

国が進めるキャリアアップ制度!?

国が新たに進めるキャリアアップと処遇改善の取り組みも出てきています。「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」といった新たに専門的な職種分野を設け処遇を改善するものです。

管理職の業務も担当する「副主任保育士」には管理職として、主任保育士と現場をつなぐ役割として月額4万円の手当。高い専門性が特徴の「専門リーダー」を設定し、専門性の高いリーダーとして、職場のスタッフを支える仕事を担うとして、月額4万円の手当がもらえます。若手のリーダーとして働く「職務分野別リーダー」においては、特定の分野に特化したリーダーとして、現場の保育士をまとめる役割を期待し、月額5,000円の手当を設定しています。しかしながら、現状はこの予算配分も、「法人に任されているところ」があり、一律で処遇を配分しているわけではないという現状を知る必要があります。

 

制度があっても、行政が支援しても最終的には法人の考え方次第。

住宅手当、処遇改善手当等、保育士さんに対する処遇改善の流れは積極的なものがあります。これはとても喜ばしいことですが、最終的な支給ルールや判断は各法人に任せられているところがあり、この点を理解してはたらく保育園選びをする必要があります。法定外の福利厚生や休日の設定などを考えるとなおさらですね。保育士BOOKでは、各法人の処遇改善の取り組みをリサーチし、はたらく保育士さんにしっかりとお伝えすることで選択の幅を広げていただき、より充実した保育士としての働く環境選びのご支援をしています。

 

そもそも処遇の改善につながっているのか!?

今回コメンテーターとして参加いただいた、てぃ先生とかけあいながらセミナーを進行しましたが、その中で、一番重要なメッセージをてぃ先生にいただきました。

例えば、子どもたちの午睡の時間に連絡帳を記載している園もたくさんあると思います。この場合、現場の保育士さんはお昼もお休みなくはたらくことにあってしまうことになるます。だけど、これってictなど新しい技術やツールをを使いながら効果的な業務改善につなげらることはそんなに難しくない。

あるいは行事や季節のディスプレイを保育士さんが担当する際にたくさんの制作物をつくっているケースがある。業務時間内外でお制作をするわけだが、もっと効果的なやり方がないだろうか。

給与が上がってもはたらく時間が伸びてしまうのであれば、はたして、それは本質的な待遇改善になっているのだろうか!?という問題提起です。キャリアアップにしても「キャリアをはかるものさしが保育園の中にきちんとあるだろうか!?

そもそも、保育士さん自身が働きやすい、やりがいを感じる環境づくりについて議論できているだろうか!?議論できる環境だろうか!?こういったご意見を頂戴しました。保育士BOOKとしては、これはとても本質的な問題提起だと感じました。

 

保育士さん自身が保育園側から「提供される・与えられる処遇」を比較検討して、選ぶだけでなく「自らが意見を出し、より良い保育環境にしていくための自分たちの環境改善」を考え、議論し、発信していくことが何よりも重要ではないかと考えたわけです。

このイベントのてぃ先生の最後のメッセージは保育者自身が幸せであること。自分を満たすことからはじめてほしい。自分が満たされてようやく周囲の人、子どもたちを満たしていくことができる。自分の時間、人生を大切にしてほしい。」というものでした。

私たちもこのメッセージに深く共感します。保育士BOOKはこういった思いで少しでも保育士さんのはたらく環境が豊かになり、よりよい保育につなげられるように、今後も保育事業者さんの処遇改善の情報をリサーチし、皆さんにお届けするとともに、保育士さん自らが保育環境をよりよくしていくための議論やアイデアを幅広く求め、セッションされる場を設け、保育環境の改善に貢献していきたいと考えています。