ジャーナル
2023.10.11インタビュー
観音寺保育園 園長 楠野 吉弥さんインタビュー『戦後、地域の福祉のために立ち上がった保育園』
「観音寺保育園は、福岡にまだ『認可園』という括りがない中で地域の子どもたちの福祉のために立ち上げた保育園です。昭和23年…まだまだ戦後の雰囲気が残っている頃ですよね。ですから子どもたちだけでなく、親御さんやご家族、地域も含めて一体で福祉という立場で関わっていたという感じです。子どもたちにとっては生活の場でもあり、成長の場でもあり、安心できる場でもあり。親御さんやご家庭、地域にも対しても今よりももっと踏み込んで関わっていたと思います。まぁ、ほっとけない、といった人情といいますか、人として大事にしていきたいことを軸に、地域に根ざして園を運営してきたと言えるかもしれませんね。」
社会で生きていくには、個性と集団性が大事だとも思うんです。
「人と人の関係性、関わりが希薄になってきているところもあるとは思いますが、やっぱり『人は一人では生きていけない』ので、自分の個性も大事にしながら集団性も学んでほしいと思うわけです。自分の好き嫌いももちろん大事ですが、集団の中で自分の個性を見つけて、社会性を身につけながら、みんなで何かを作り上げたり成し遂げたりする喜びみたいなものを原体験として体感してもらうことも大事だと思うんですね。社会に出たら、ひとりで仕事を完結できることってそんなにないわけですよね。だったらやっぱりこの辺の経験、感覚を早い段階で身につけていく方が、子どもたちにとっては生きやすい環境を自分で見つけていく・作っていくことにつながるんじゃないかと思うんですね。」
保育士1年目、2年目だったら自分にそんなに多くは求めなくていいと
「そんなふうに私は思いますね。1年目、2年目はまずは子どもたちを見たり、先生の仕事を見たり。楽しんで、発見してほしいです。これをやらなくちゃとか、何が正解かなんて発想ではなく。こんな子もいるんだとか、こんな環境設定もあるんだとか、ですね。それで、学校で学んだ知識にも紐付けして、わからないことは先輩に聞いて自分の中でどんどん咀嚼してほしい。それから自分なりの仮説を立てて、考えて、環境設定に取り組んでいく。そのくらいのペース感で十分じゃないかと思うんです。あんまり慌てなくてよくて、やっぱり保育という仕事を楽しんで経験を積んでほしいと思いますね。」
保育園という集団の中で、自分の個性を見つけてほしい
「『子どもたちの個性も大事にしながら集団の中で自分を活かせるようになってほしい』と思うように、職員にも自分の個性の発見も大事だし、集団の中で自分を活かす、あるいは相手を活かすという切り口で環境設定に取り組んでもらいたいと思いますね。子どもたちの育みは保育者同士の共同作業でもあるし、地域やご家庭との共同作業でもある。こういった視点で広く子どもたちと接していくことで、『キリキリせずにのびのびと子どもたちに接すること』ができると思うんです。完璧な人はいないので、ある程度緩やかに構えて、日々楽しんでこの地域の中で保育に関わってほしいと思いますね(笑)」
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